日本独自リマスターでございますが、日本側所有のマスターテープを基としたものがミソ。
(日本特有の高音中心で幾分杓子定規的な感覚ではございますが)オリジナルに即した立体感と躍動感の強いものとなっており、非常に良心的な音質となっております。
内容は言わずもがな。
ラインナップは非常に興味深い経歴の名手揃い。
Pat Travers(Vo、G)、故
Peter ”Mars” Cowling(B、ex-Gnidrolog(!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)、The Flying Hat Band(かのJudas PriestのGlenn Tipton在籍!))、
Pat Thrall(G、B-Vo、ex-Stomu Yamasita's Go、Automatic Man、
Alphonso Johnson、
後にHughes/Thrall、Asia、Meatloaf等々。
Lincoln Goines/Bill Connors等Jazz/Fusion系のプロデュース)、
Tommy Aldridge(Ds、ex-Black Oak Arkansas、後にGary Moore、Ozzy Osbourne Band、Project:Driver、
Patrick Rondat、
Whitesnake、Manic Eden、House of Lords、
Thin Lizzy、
John Sykes、Motorheadセッション
等)となります。
(Pat Traversが左、Pat Thrallが右となります
)
1979年1月~2月米国オースティン、マイアミ、ゲインズヴィルでの実況録音からの抜粋となります。
プロデュースはPat TraversとTom Allom(全盛期Judas Priest、初期Def Leppard他を手掛ける)となります。
自身のソロ・トリオ編成で活動を行うものの、活動拠点をアメリカに移す案を巡って難色を示した名手Nicko McBrain(Ds、ex-Stretch、The Streetwalkers、後にTrust、現Iron Maiden)が離脱。
また、トリオ編成の限界を感じたPat Traversはソロバンドを解体。名手Peter’Mars'Cowlingを残留させ、ツインギター編成を試みる事となります。
されど、イギリスでのセッションに限界を感じたPat Traversは本格的にアメリカに拠点を移す事を決意。
米国活動中に邂逅、意気投合したTommy AldridgeのBlack Oak Arkansasとの契約切れを待ち”Pat Travers Band”を結成。
また
ジャズ/フュージョン系セッションで名手として知られ、
Automatic Manを解散させ
た名手Pat Thrallを加入させ、「バンド」として新作制作に乗り出すという経緯がございます。
新作”Heat in the Street”が好評。
また
新バンドの充実振りがあり
ライヴの非常な好評
を呼んだ事が切っ掛けとなり、
そしてトリオ編成時代ではライヴで質が成し得なかった楽曲の再構築を目指して
今作「Live ! Go for What You Know」が制作される事となります...........................
さて今作。
後に名手Tommy Aldridge曰く「優れたリズム・ギタリストではあったが、リードギタリスト面は.......」というPat Traversでございますが、どちらかと言えば古典派リードギタリストという感。
されど後に名手故Gary Moore(曰く「明らかに影響を受けた」)や名手Glenn Hughesが絶賛する新世代系名手Pat Thrallを加えた事が刺激となった感があり、非常に生き生きした演奏が聴かれます。
(後に故John WettonがAsiaの新ギタリストとして故Gary Mooreに加入を依頼した際に「Pat Thrallはどうだい?」との回答を得、
また”Project:Phenomena”繋がりでGlenn Hughesに新ギタリスト人選を相談した際も推薦を受けたとの話................)
反目し合うのではなくお互いの個性を強調しつつ協調するというかの”Wishbone Ash”をハイテク化した感があるツインリードでございます。
(但し、Pat Thrallのソロの出番をもっと増やしても良かった感がございます...................................前述のTommy Aldridgeの発言はこれに絡む感が.............................)
またリズム的にも頼りになる相棒が出来た事で演奏の自由が広がり、非常に興味深いものとなっております。
そもそもバンド自体がリズム面にも長けたハイテク系名手揃い。
とりわけ故Peter’Mars’Cowling/Tommy Aldridgeの名手リズム隊はソリッドな上に変幻自在。
Tommy Aldridgeの名演のみならず、対等な個性たるPeter’Mars’Cowlingのタイトなリズム感やフレーズの秀悦なセンスにも注目でございます。
ファンク系応用変拍子等々、応用力抜群。正直HR/HM系の歴史的な名リズム隊の一つという感がございます。
正直、このPat Travers Band~Gary Moore Band時代がTommy Aldridgeの非常に整った高度な演奏が聴かれる時代。
Ozzy Osbourne Band時代以降は(セッション・ワークにおいても)「派手に豪快に叩け!」と演奏に強く求められる感があり演奏スタイルが変化致しますので、非常に貴重な録音の感がございます。
(名手Tommy Aldridge曰く「才能の全てをつぎ込んだ」とも...............................)
過去楽曲もツインギターという事がありリズム面のカバーが可能と言う事で音に厚みが出る、Pat Traversがヴォーカルに更に専念出来る、
そしてスタジオ制作での楽曲表現がライヴでも可能になり更に発展させる事も可能になった事がミソでございます。
また変幻自在で躍動感がありまた非常に整った
リズム隊が要として存在し、リズム面にも長けた名ギタリストが二名という事があり、アンサンブルは非常にソリッド。
案外展開が多い楽曲という事もあり、非常にスリリング。
ラインナップ変更後それ程でもない時期にライヴ盤制作が制作された事が頷けるものでございます。
録音の良さも加わり、後にロック系ライヴ名盤の一つとして挙げられる事となります...................
そもそも評判の高かったライヴは更に評判を呼んでおり、
大物ミュージシャンのオープニングに多々起用された模様。
チャート的にも好評を博し評判は非常に高いもので、
アメリカ進出の土台が築かれた感がございます。
後々にハイテク・ツインリード・ギターが売りであるかの”Night Ranger”が登場致しますが、今作登場当時はかのJack Blades/Brad Gillisがウェストコースト系名ファンクバンドで知られた”Rubicon”で活動中。
様々なフェスティバルやツアーでこの”Pat Travers Band”と遭遇している筈で、ハイテク・ツインリード・ギターの有り方だけでなくリズムやドラムの有り方やファンク/ポピュラー系絡みの音楽性等々、
後に結成となる”Night Ranger”の音楽的コンセプトに
影響を強く与えた感がございます。
この機会に是非。
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