未開封新品でございます。
日本独自リマスターでございますが、日本側所有のマスターテープを基としたものがミソ。
(日本特有の高音中心で幾分杓子定規的な感覚ではございますが)オリジナルに即した立体感と躍動感の強いものとなっており、
非常に良心的な音質となっております。
内容は言わずもがな。
ラインナップは非常に興味深い経歴の名手揃い。
Pat Travers(Vo、G、Key)、故
Peter ”Mars” Cowling(B、ex-Gnidrolog(!!!!!!!!)、The Flying Hat Band(かのJudas PriestのGlenn Tipton在籍!))、
Sandy Gennaro(Ds、ex-Black Jack....後にA.O.R.系で名を成すかのMichael Bolton(!!!!!!!)、
後のKISSの名ギタリスト名手Bruce Kulick(!!!!!!!)、
後にジャズ/フュージョン系名バンド”Yellow Jackets”で名を成すJimmy Haslip(!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)との幻のバンド)、
Michael Shrieve(Per、ex-Santana、Stomu Yamashita's Go、Automatic Man他)となります。
ゲスト扱いとして、
Pat Thrall(G、B-Vo、ex-Stomu Yamasita's Go、Automatic Man、
Alphonso Johnson、
後にHughes/Thrall、Asia、Meatloaf等々。
Lincoln Goines/Bill Connors等Jazz/Fusion系のプロデュース)、
Tommy Aldridge(Ds、Per、ex-Black Oak Arkansas、後にGary Moore、Ozzy Osbourne Band、Project:Driver、
Patrick Rondat、
Whitesnake、Manic Eden、House of Lords、
Thin Lizzy、
John Sykes、Motorheadセッション
等)となります。
(
両者共に”I Can Love You”一曲のみのクレジットではございますが、脱退は表明したものの契約問題がありバンドには在籍していた模様。
又その後のツアーにも同行した模様。
実際の制作は以前同様の「Pat Travers Band
編成」で
行われ、Michael Shrieveのオーヴァーダビングが成された感がございます)
前作に引き続きプロデュースはDennis Mackey
とPat Travers自身となります。
(前者はAl DiMeola、Brand X等手掛ける。またJudas Priest”Stained Class”後にAlcatrazz ”1st”等を手掛ける)
1980年10月~1981年2月米国フロリダ州”Bee Jay Recording Studios”での制作
となります。
自身のソロ・トリオ編成で活動を行うものの、
活動拠点をアメリカに移す案を巡って難色を示した名手Nicko McBrain(Ds、ex-Stretch、The Streetwalkers、後にTrust、現Iron Maiden)が離脱。
また、トリオ編成の限界を感じたPat Traversはソロバンドを解体。名手Peter’Mars’Cowlingを残留させ、ツインギター編成を試みる事となります。
されど、イギリスでのセッションに限界を感じたPat Traversは本格的にアメリカに拠点を移す事を決意。
米国活動中に邂逅、意気投合したTommy AldridgeのBlack Oak Arkansasとの契約切れを待ち”Pat Travers Band”を結成。
また
ジャズ/フュージョン系セッションで名手として知られ、
Automatic Manを解散させ
た名手Pat Thrallを加入させ、
「バンド」として新作”Heat in the Street”制作に乗り出すという経緯がございます。
チャート的には前作程ではなかった模様でございますが、評判は非常に高いもの。
そもそも評判の高かったライヴは評判を呼び大物ミュージシャンのオープニングに多々起用された模様。
アメリカ進出の土台が築かれた感がございます。
新作及びライヴの非常な好評さ、新バンドの充実振り、そしてトリオ編成時代ではライヴで質が成し得なかった楽曲の再構築を目指して、
大傑作ライヴ盤「Live ! Go for What You Know」が制作。
リリース後は更なる非常な好評を呼び、バンドは順風満帆。
満を持して新作”Crush and Burn”制作/リリースすればバンド随一のチャートアクションと叩き出します。
されど核となるPat Traversにミュージシャン特有の私生活問題が既に持ち上がってきており、それがバンドの頭に圧し掛かる事となります。
その問題が創作面や演奏面にも悪影響を与える事となり、Thrall/Aldridgeは大きな不満を感じる様になります。
やがて短期間でバンドの深刻な亀裂を引き起こし、新作制作中にThrall/Aldridgeが脱退を表明し
あっけなく全盛期が終焉。
されど契約の関係で制作は継続。
Pat Traversソロ名義作として変更され完成に辿り着く...........そしてツアー途中に契約終了を経て
後任にSandy Gennaroを迎え
.......
という経緯がございます..............................................
さて今作。
名手系ギタリス
トでありながらもヴォーカリスト、鍵盤系も使いこなす事がありそもそも音楽的な応用力を持ち合わせているPat Travers。
前作は楽曲に重点を置いた感のある落ち着きのある作風で成功を収めたもののロック的な躍動感が弱いとの批判があり、
その反省に立った感がございます。
但し、前作同様の楽曲・ヴォーカル重視は同様。
Pat Travers独特の(かのTodd Rundgrenに繋がる洗練された)メロディアス/メロウな感覚を上手く活かしている感がございます。
またキーボード使用という音楽性の幅を広げる工夫も同様で非常に興味深いものとなっております。
されど八十年代を意識した感があり、
前作以上に洗練された感覚の楽曲が揃い
非常なコンパクト感がございます(←ここがミソ)。
後に名手Tommy Aldridge曰く「優れたリズム・ギタリストではあったが、リードギタリスト面は.......」というPat Traversでございますが、
どちらかと言えば古典派リードギタリストという感。
名手故Gary Moore(曰く「明らかに影響を受けた」)やGlenn Hughesが絶賛する新世代系名手Pat Thrallの存在があれど以前とは異なり、
また
制作途中で
ソロ名義に変更した事があり
楽曲やヴォーカル中心の音楽性をより進めており、そのツインギター個性は部分的に留まるもの。
Pat Thrallはリズム面が長けた名手というもあり、リズム及び味付け中心という感がございます。
(”I can Love You””Live it My Way””Play it Like You See it””Electric Detective
”辺りで個性が感じられ、
”Electric Detective”のフレーズは後の”Hughes/Thrall”でも聴かれるものでございますが..........)
Peter’Mars’Cowling/Tommy Aldridgeのリズム隊も落ち着いたもの。
今作では
派手さ・豪快さ
は潜めているもののTommy Aldridge、
対等な個性たるPeter’Mars’Cowlingのタイトなリズム感やフレーズの秀悦なセンスにも注目でございます。
細やかさと躍動感そして応用力抜群。
HR/HM系の歴史的な名リズム隊の一つという感がございます。
正直、このPat Travers Band~Gary Moore Band時代がTommy Aldridgeの非常に整った高度な演奏が聴かれる時代。
Ozzy Osbourne Band時代以降は(セッション・ワークにおいても)「派手に豪快に叩け!」と演奏に強く求められる感があり、
演奏スタイルが変化致しますので、非常に貴重な録音の感がございます。
(名手Tommy Aldridge曰く「才能の全てをつぎ込んだ」とも...............................)
後々にハイテク・ツインリード・ギターが売りであるかの”Night Ranger”が登場致します。
かのJack Blades/Brad Gillisがウェストコースト系名ファンクバンドで知られた”Rubicon”での活動期は
全盛期Pat Travers Bandと重なるもの
。
様々なフェスティバルやツアーでこの”Pat Travers Band”と遭遇している筈。
ハイテク・ツインリード・ギターの有り方だけでなくリズムやドラムの有り方やファンク/ポピュラー系絡みの音楽性等々、
後の”Night Ranger”の音楽的コンセプトに
影響を強く与えた感がございます。
今作制作リリース後も契約上の関係があり「Pat Traversソロ名義」として”以前同様のPat Travers Band編成”にてツアーに勤しむものの、
セールスは不振。
ツアー中での契約終了を待ち、Thrall/Aldridgeは離脱。
Pat ThrallはGlenn Hughesとかの幻の”Hughes/Thrall”を結成へ、
Tommy Aldridgeはそもそも以前からアプローチがあったOzzy Osbourne Bandに 1981年4月正式加入。
(後にHughes/Thrallのツアーにて一時合流)
レコード会社もPat Traversの姿勢に不信を抱き、契約は解除。
されど訴訟沙汰となりPat Traversは勝訴。
二作分の契約を継続する事となりますがバンド崩壊の原因となったミュージシャン特有の問題は引き摺ったまま。
Thrall/Aldridgeという求心力を失った痛手は解消できず、通受け名盤を二作残すもののセールス不振。
契約終了後はツアー中心に活動に勤しむものの契約に恵まれず、またWhitesnake加入以前のTommy Aldridge等にバンド再結成を打診。
されど「かの問題」は解決されていない事から不信を招き、提案は却下。
表舞台から一時姿を消す事となります........................................
この機会に是非。
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